Multicoinが2024年に期待していること

毎年年末に、私たちは一堂に会し、今後1年間に期待する最大の変化についていくつか議論します。 今回初めて、これらのアイデアを公開します。 これらのアイデアについてさらに議論したい場合は、弊社へお気軽にご連絡ください。

Shayon Sengupta

価値の注目理論

取引所は、株式、商品、金利など、価格を容易に決定できるものを取引するために使用されます。 これらの資産の測定には標準的な測定方法があり、株式の割引将来キャッシュフロー（DCF）の関数、国境での石油1バレルの現行レート、将来償還できる1.05ドルの支払意思額などがありまます。 これこそが、流動性市場における価格発見が意味するものです。

しかし、価格発見が純粋に注目に関して発生する別の商品カテゴリーがあります。 スニーカー、アート、スポーツ用品の収集品、ヴィンテージ家具などは、株式や商品よりも本質的に流動性が低く、その価値はDCFモデルではなく、純粋に社会的合意からもたらされます。

近年、そして特にインターネットの影響により、価値の注目理論は、従来の市場に浸透してきました。 TSLA、GME、AMC、DOGE、CryptoKittiesはすべて、このモデルの下で有意義な価格発見経験しました。 これらの資産の主な価格設定メカニズムは、以前はキャッシュフローと清算価格でしたが、現在は、主なメカニズムは、資産が受ける注目の量に基づき決定されます。

暗号通貨は、価値の注目理論において2つの重要な役割を担います。1つ目は、新しい資産を迅速に作成する能力、2つ目は、それらを取引する能力です。 注目が中核となる価格設定要因である場合、暗号通貨が可能にするのは、注目を追跡する資産を発行し、取引する無限のキャンバスを提供することです。「金融注目」のより広範なパターンは、その自然な最終状態に到達するために、暗号の最も重要な特性の2つ、すなわちパーミッションレスとコンポ―サビリティを必要とします。

1. パーミッションレス：誰でも、あらゆる種類の資産を発行できる
2. コンポ―サビリティ：誰でも、どこでもこれらの資産を取引することができる

実験のためのこの設計スペース：

1. 新しい資産発行の発行のためのタッチエリアの拡大（すなわち歴史的に見ると、クリエイタートークン、予測市場LPポジション、ミームコイン）
2. 発行と取引の新たな場への組み込み（歴史的に見ると、bonkbotやbananagunなどのメッセンジャーボット、friend.techなどのリーダーボード、ゲーム内マーケットプレイスなど）
3. 資産保有者間の調整の促進（すなわち歴史的に見ると、米国憲法の写しを購入するためのプール資本、キャリアオフロードのための無線フットプリントの構築）

これが短期的に意味するのは、次の大きな取引所が取引所のようではなくなることです。 クリエイターと視聴者が一緒に賭けることができるライブストリーミングプラットフォーム、または友人やコミュニティがネットワーク国家建設のために数百万ドルを集めるクラウドファンディングキャンペーンを即座に開始できるグループチャット、またはトップコントリビューターがプラットフォーム固有のステータス ポイントを獲得できるだけでなく、多額の金銭的報酬も得ることができ Stack Exchange 型フォーラムのようになるでしょう。

2024年には、こうした3つの広範なパターンに従い実験的な取り組みを行う起業家が現れることでしょう。流動性資産と非流動性資産の両方を扱う最初の「非取引所」取引所が登場することになるでしょう。 これらの取引所は、取引量という点においてリーダーボードの上位に上り、ウォール街の投資家が賭けに乗りたがらなかった状況から脱却するでしょう。

Vishal Kankani

NFTコレクターのためのソーシャルネットワーク

2024年には、収集可能なNFT、コレクターの増加、コレクターのためのソーシャルエクスペリエンスに期待しています。

収集コレクションは、エジプト文明や中国文明の君主によるユニークな宝物の収集から、ルネサンスヨーロッパの宝物にるまで、古い起源があります。 博物館は基本的に、こうした個人コレから進化したものです。

心理的な観点から見ると、収集は投機的な機会を超えて、自己表現の手段としての役割も果たします。一部のサークルでは、収集品はステータスの象徴となっており、収集という行為を個人のアイデンティティと結びつけ、コミットメント、専門知識、知識を示します。 インターネットはこの行動を増幅し、これまで孤立していた愛好家を結びつけ、それぞれのグループに新たな帰属意識を育んでいます。

こうした進歩にもかかわらず、いくつかの壁がコレクターを悩ませています。

1. 真正性と出所に関連する詐欺
2. 取引と代替可能性
3. セキュリティ、破損、紛失
4. スペースと保管に関する問題

ブロックチェーンは、定義上、上記の壁を大幅に取り払い、より多くの人々を集めることができます。 ブロックチェーンは、特に、ポケモンGO、仮想スニーカー、ゲーム内スキンなどのデジタルアイテムをすでに収集している若い世代にとって魅了的です これらのコレクションはすべて、パブリックブロックチェーン上に存在するデジタルネイティブのコレクションの前身です。

デジタルコレクションがプライベートデータベースからパブリックブロックチェーンに移行した場合でも、コレクターの一連の行動、つまりコレクションを誇示したい、コレクションを容易に交換したい、グループを発見し、つながり、交流したいという欲求は変わらないでしょう。 こうした行動は、所有権グラフに基づくソソーシャルエクスペリエンスの拡大の土台を形成します。

Spencer Applebaum

新興市場におけるステーブルコインを活用した送金

私は、主に東南アジアとアフリカで、BTCを送金のためのレールとして使用する最初の企業の1つであるBitsparでインターンを終えた後、暗号通貨の沼にはまりました。 暗号通貨を活用したクロスボーダー決済は、暗号通貨を発見して以来、私が最も興味を持ったユースケースの1つです。

一部の低所得国では、送金業界がGDPの主な推進力の一つであり、多くの経済が存続する原動力でもあります。

出典: Based on data from World Bank Development Indicators

歴史的に、送金の課題は、送金コストが高く、国外で交換および取引できる法定通貨（例：米ドル、ユーロ、円、英ポンドなど）の数が非常に少ないことにより、多くのレーンが遅くなり、アクセスできなくなることでした。 によると、送金のコストは平均6.2％ですが、そのスプレッド（差額）は、ロングテールの外国 チャネルの場合、直感的に大幅に増加します。 例えば、南アフリカから中国への送金は、送金コストが25%以上です。

こうした状況を背景に、1）消費者向け送金アプリ、2）物理的な送金事業者（MTO）(特に従来アクセスできなかった事業者や、高価なチャネルでステーブルコインを使用するMTO) 向けのB2B SaaS企業 の双方にとってのチャンスが、2024年に到来することに期待しています。

これらの製品は、1) P2P ベースの現地支払い方法 (oRamp El Dorad) を介して現地通貨 ABC を USDC/USDT に交換し、2) USDC を別の国に送金し、3) 別のブローカーまたは流動性プロバイダーを通じて、または、 USDC を保持したり、現地通貨に変換したりできる、使い慣れた国内の支払い方法です。

デジタル決済は、過去12年間にわたり、世界の送金に多大な影響を及ぼしてきました。

出典: World Bank Remittance Prices Worldwide Quarterly

ステーブルコインはこの傾向を加速し、特に歴史的に遅く、高価であったロングテールチャネルでは、送金コストをさらに削減します。 2023年にステーブルコインが急速に普及すると、2024年はステーブルコインの送金の年になります。

Matt Shapiro

暗号通貨は、製品から製品を推進するものへとシフト

2024年には、暗号通貨は製品から製品を推進するものへと、大きな変化を見せるでしょう。 こうした初期の兆候はすでに現れており、あらゆる場所でさまざまなチャンスが生まれていると考えます。

昨年、暗号通貨は、歴史的に不可能であった、あるいは非効率的であった新しい市場に火を付けました。Hivemapper、Googleストリートビューよりも24倍から100倍も頻繁に場所を確認する新しいマップを作成し、1年未満で地球のほぼ10%をマッピングしました。は、暗号通貨メカニズムを使用して、スケーラブルな方法でパーミッションレスな貢献に対しインセンティブを提供します。 世界的なGPU不足の時代に、Render、GPU供給のためのまったく新しい市場を創出しました。この分野は、今後数年間にわたり、継続的な需給の不均衡に直面すると考えています。 Helium Mobile、暗号通貨対応のユーザー所有のインフラストラクチャと機器を活用することで、通信業界のコスト構造を大幅に変えようとしています。

スターバックスもまた、既存のトップレベルの報酬プログラムから派生したOで、暗号通貨分野へと参入しています。 Blackbird、暗号通貨報酬を用い、レストラン業界に革命を引き起こしています。（これは、強力な決済ビジネスの推進の前身となり、レストランの収益をさらに拡大する可能性があります）。

Bax、暗号通貨を使用して、ウイスキーやその他の高級スピリッツの取引と投資を活性化し、多くの新しい参入者たちへ市場を開放しています。 oRamp、仮想通貨を使用して、ローカルおよび地域の外国為替の新たな市場を活性化し、顧客のスプレッドの縮小とコスト削減を可能にします。

これらの例はすべて非常に異なるものですが、本質は同じです。これらはすべて、暗号通貨を使用して、大きな経済的成果を促すよう製品を強化しています。 スターバックス、Nucoin、Blackbirdなどのケースでは、暗号通貨はほとんど表面化することなく、内部で運用されています。HivemapperやRenderなどの他のケースでは、暗号通貨は製品と密接に結びつき、目立った形で、製品自体の重要な部分を占めています。 ここでの設計スペースは広く、過去5年間にわたるインフラストラクチャの構築が、暗号通貨が日常のユースケースをさらに推進するための道を切り開きました。 2024年には、この分野での実験が爆発的に拡大すると考えられます。

Eli Qian

オンチェーンデータ

2024年には、オンチェーンデータの量は、ケタ違いに増加すると予想しています。 新しいユーザーが参加するにつれて、分散型アプリケーション (dApps) とプロトコルのユースケースと機能が拡大します。 分散型ソーシャルプロトコルのデータは、特に豊富になり、人々は金融商品よりもソーシャル製品でより多くのことを行い、より多くのデータを生成するでしょう。

この爆発的な量のデータを活用し、私たちは何をすべきでしょうか？ 過去には、オンチェーンデータは、広告とパーソナライゼーションの視点からみられていました。 しかし、チームがより原則に基づいたアプローチを採用し、ソーシャルプロダクトを構築するためにオンチェーンデータをコンテキスト化することは単なる贅沢ではなく、必要であることを認識するよう期待しています。

現在、オンチェーンソーシャルデータとアイデンティティは、1つのユニバーサルグラフ（例：Farcaster）に組み込まれているため、さまざまなソーシャルコンテキストに合わせたソーシャル製品を構築することが困難になっています。 人は多面的です。 私たちは、さまざまな社会的環境の中で生きています。 私たちは環境に応じて異なる行動をとり、異なることを要求します。 私たちは独自の理由でFacebook、Twitter、LinkedIn、Snapchatを使い分けます。ソーシャルグラフは、各プラットフォームに特定のコンテキストとエクスペリエンスを作成します。

Threadsの立ち上げは、この良い例です。 ThreadsがTwitterを置き換えるものではない理由はたくさんありますが、その1つは曖昧な社会的背景です。 Threadsのソーシャルグラフは、主に実世界の人間関係に結びついたソーシャルネットワークであるInstagramからインポートされたものです。 しかし、ユーザーがやり取りする方法であるThreadsのメディアは、オンラインファーストで匿名のソーシャルコンテキストであるTwitterから取り込まれています。 つまり製品が文脈とが一致しないため、ユーザーにはどのように行動すべきかが明確ではなかったのです。

2024年には、ソーシャルグラフのエッジとノードが、より具体的で関連性の高いコンテキストに細分化され、分類される予定です。 現在、プロトコル内ソリューション（Farcasterのチャネルなど）が存在しますが、開発者が構築したい製品やソーシャルエクスペリエンスに対し、より関連したデータを要求するにつれ、プロトコル外のソリューションが登場すると予想しています。 私は、新しい世代のソーシャルアプリケーションを可能にするデータプリミティブと開発者インフラストラクチャの次の波の到来を期待しています。

Tushar Jain

トークン配布の新しい形態

暗号通貨のすべての強気相場は、新しいトークン配布方法が引き起こしたものです。 例：

• PoWチェーンの普及 ― 2013年/ 2014年
• ICO ー 2017年
• IEO ー 2019年
• 流動性マイニング ー 2020年
• NFTの鋳造 - 2021年

最近の弱気相場で開発された2つの新しいトークン配布メカニズムがあり、これは新しい強気相場の起爆剤となる可能性があります

1. DePIN — 生産性の高い資本資産（例：H、HivemapperRender）の構築を支援するためにトークンで人々に報酬を与えます。
2. ポイント — すべてのトークンメカニズムが解決されるまで、製品を使用するよう人々を奨励します。 トークンの立ち上げには多くの作業が必要であり、トークンが実際に稼働すると、経済を変えることはさらに困難となります。 ポイントには、単位や最大供給量がなく、譲渡できないため規制リスクが少なくなります。 ポイントは、PMF (プロダクトマーケットフィット)前のサンドボックスで、インセンティブを提供します。

新しい形のトークン配布は、新しいユーザーを暗号通貨エコシステムに導く強力な方法です。 ユーザーの次の大きな増加は、購入によるものではなく、獲得による暗号通貨資産の入手によるものだと思います。 DePINとポイントは、どちらもこれまで暗号通貨ウォレットを所有したことがない新規ユーザーに暗号通貨資産を与えるための新しい方法を提供します。

Kyle Samani

UIレイヤーの構成可能性とクライアントサイドのZK

UIレイヤーの構成可能性

Multicoin Summitでの2021年のプレゼンテーションで、私は構成可能性のアイデアについて議論しました。 当時、私はオンチェーンのアトミックな構成可能性に注目していました。 私はここ数年で、オンチェーン原子組成可能性を評価するようになりました（そのため、Xの名前を「構成可能性カイル」から「統合カイル」に変更しました）。 最近、私がより興味を持つようになった構成可能性は、パーミッションレス、UIレイヤーの構成可能性です。 2023年には、UIレイヤーの構成可能性の最初の大きな躍進である、Unibotを目にしました。 Unibotは、Telegram上のオンチェーンターミナルおよびDEXボットです。 以前は、インターネット上のどこかで情報（X、Reddit、ニュース、ブルームバーグ、テレグラムのチャットなど）を学び、その後、別のUI（ドリフト、バイナンス、コインベースなど）に移動して取引していましたが、Unibotは、人々が自由に交流し、情報を交換しているTelegramに取引所を取り込みました。

2024年には、Telegramのグループチャットの枠を超えて、Web上のさまざまな環境に取引活動を取り込む大きなチャンスがあります。

そのアイデアに基づいて、資産元だけでなく、ソーシャル製品、特にFarcasterのUIレイヤーの構成可能性がさらに高まることを期待しています。 Farcasterの夢は大胆です。各イベントが個人によって署名され、そのイベント ストリームから読み書きを行う多数の UIを備えた単一のイベントフィードを提供することです。

私たちは通常、CryptoTwitter、fintwit、sportsTwitter、politicalTwitterなど、さまざまなユースケースに対してXが独自の製品エクスペリエンスを提供しているかのようにXについて話します。 このビジョンを基本から実現するFarcaster クライアントの構築には、真のチャンスがあります。 この設計スペースは、2024 年に人々が利用できるようになります。

クライアントサイドのゼロ知識証明（ZK）

ここ数年間のゼロ知識（zk）に関する議論のほとんどは、ゼロ知識ロールアップとzkコプロセッサを使用した資産台帳の拡張についてでした。 しかし、zkにとって最も興味深いデザイン空間は、クライアントサイドのプライバシーにあると考えています。 最近、私は非常に魅力的だと思う2つのクライアントサイドzk構成について学びました。

1. Zk.meは、名前が示すように、特にKYCとAMLのコンプライアンスのの観点から自分自身についてのzkプルーフを作成するためのシステムです。 より厳格なオンチェーンKYCなしに、DeFiがさらに10倍に成長することを創造するのは難しいです。 この前提の下、私はユーザーがデータを漏らさないことが望ましいと考え、zkプルーフはそのビジョンを達成するための基盤になります。
2. Brave Boomerang — 伝統的に、アドエクスチェンジは中央集権型サーバー上で実行されます。これは、Google、Facebook、その他のすべてのオンライン・アドエクスチェンジに当てはまります。 Braveは、アドエクスチェンジのためのモデルを破壊しています。 ユーザーは、自分のデバイス上でローカルにアドエクスチェンジを実行し、アドエクスチェンジが正しく実行されているという証拠をブロックチェーンに送信します。 このモデルは、個人を特定できる情報 (PII) が漏洩しないことを保証し、広告主が求めるターゲティングの精度を提供します（zkプルーフは、ホンダ車の広告が 6 歳ではなく 16 歳に表示されることを証明しました）。

これら2つの例が示すように、インターネット上の信頼を再考し、zkを使用して新しいビジネスモデルを構築する最大のチャンスは、クライアント側にあるのです。