暗号通貨経済プロトコルの最も強力な機能のひとつは、世界中の誰もが、共有目標にパーミッションレスに貢献できるインセンティブ構造を生み出すことです。これらのインセンティブ構造は、具体的な目標を達成するため、細かく調整して大規模な連携を促進できます。
これは、資本形成のステップファンクションの改善を意味します。
これまでの暗号通貨イノベーションの大部分は、デジタルコミュニティと経済の調整に焦点を当ててきました。しかし、トークンは、資本形成と人間との連携において、デジタル世界を超えて物理的な世界に広がるイノベーションの機会を生み出します。
このテーマを「プルーフ・オブ・フィジカル・ワーク」と当社は呼んでいます。このテーマに合致するプロトコルは、実世界のインフラストラクチャー構築に使われる検証可能な作業をするためのインセンティブとなります。物理インフラストラクチャを構築するための従来の資本形成に比べ、許可が不要で、信頼性に優れたプロトコル：
- インフラストラクチャをより速く構築できる—多くの場合、10~100倍の速度
- ハイパーローカル市場ニーズに合わせて
- はるかにコスト効率に優れる
このテーマ内の最初の投資はHeliumでした。Heliumは、物理的な通信ネットワークの構築と管理を促す暗号通信プロトコルです。—例えば、マイクロセルタワー。Heliumネットワークは、HeliumプロトコルのネイティブトークンであるHNTをマイニングすることで、カバレッジの生成と ネットワーク経由のデータを転送する代わりに、「ホスト」によって構築されています。 Heliumネットワークは2019年8月に立ち上げられ、それから2年半で60万を超えるホットスポットに成長して、現在世界中に接続とカバレッジを提供しています。
米国の通信業界全体に、417,000のセルタワーを有しており、世界のセルタワーの総数は3百万から8百万に及ぶと見積もっています。Heliumネットワークが、わずか30か月で同様のレベルの規模を達成したのは、世界中の人々がネットワークを構築するのを促がす、強力なインセンティブを生み出したからです。中央集権型企業が、トップダウンと堅牢なプロセスでネットワークを構築するのに対して、分散型暗号通貨経済プロトコルは、どこでも迅速にボトムアップの方法で成長することできます。
Helium Hotspotは、企業のセルタワーと同じ規模やパワーではありません。なぜなら、それらを必要としないからです。Heliumネットワークは、より多くのホットスポットを展開することで、競合他社のコストの数分の一でこれを実現しています。パーミッションレスの、暗号通貨経済プロトコルは、個々のネットワークノードの信頼性が低くても、ネットワークレベルの信頼性を提供するために冗長性に依存しています。従来の通信ネットワークでは、新しいタワーの構築に伴う人件費の増分が発生するのに対し、Heliumネットワークにおける人件費は0ドルです。これは、非対称の優位性であり、従来の通信ではできないベクトルでHeliumが競争できるということです：Heliumネットワークは、より小型アンテナ密度から構成されています。
私たちはは最近、Hivemapperへの投資を発表しました。これは、暗号通貨インセンティブを使用してデジタルから物理レームをトラバースする別のプロトコルです。Hivemapperは、ダッシュカムを使う人によって構築された分散型マップです。これは、マップの構築方法の根本的なシフトを意味します。
GoogleやApple Mapsのストリートビューの写真は、GoogleまたはAppleの従業員が、3Dカメラ搭載の専用車で撮影したものです。これらの車は、日に12時間以上運転されていますが、GoogleとAppleのマップの多くは何年も前のものです。これらの車とドライバーにかかるコストは、AppleとGoogleがリソースの追加を正当化するには、単純に高すぎます。したがってリアルタイムマップや、それに近いものなどもありません。
Hivemapperは、すでに「十分に良い」ハードウェアを所有している個人にマッピングをアウトソーシングすることで、はるかに高い頻度と低いコストで、マップを更新する新しい方法を生み出します。何億もの人々が毎日運用しています。その人々のわずか1%が、周囲の道路をマッピングすると想像してみてください。マップには、数時間か数日以内に、あらゆる新しい高速道路の出口、中小企業、近隣の街路、路面のくぼみまでおさめられます。これは、HivemapperのネイティブトークンであるHONEYだからできるのです。HONEYは、最新の情報を継続して提供することで報酬を獲得することができます。
Hivemapperは、ストリートマップに限定されるのではなく、そこから始まる場所なのです。同じネットワークで、大気汚染、無線通信品質、騒音、気象など、他の種類のデータを収集してマップを作成することができます。Hivemapperがいかに、AppleやGoogleよりも低コストでマップを作成できるかは明らかです。 このように考えると、プルーフ・オブ・フィジカル・ワークは、他のユースケースにも自然に広がってくるのです。
HeliumとHivemapperは、物理的世界とデジタル世界の間を取り持つ、暗号通貨インセンティブプロトコルの二つの例にすぎません。Multicoin Capitalのこのスペースに魅了されて、デザインスペースは広くなると考えています。また、新しい資本形成形態により、設備投資集約型のビジネスモデルを破壊する最良の機会のひとつであると考えています。
このような連携モデルは、暗号化された株式協定や、連携するアクターへのボーナス報酬がなくても再現できるという人もあるかもしれませんが、ほとんどの中央集権組織には既に存在しています。一方、暗号通貨経済プロトコルは、以下の５つの重要な利点を明らかにします：
- 迅速なスケール — 多くの法的管轄区域にまたがって、世界中のあらゆる場所で、パーミッションレス・ボーダーレス・プロトコルは、同時に成長することができます。
- 信頼できる中立性 — 中立性の確かなネットワークは、利害関係者に、ルールを任意に変更できないことを保証します。
- 集団所有権— そのユーザーが所有するシステムは、ロイヤリティーを生み出し、インセンティブの調整、成長を促すものです。
- フリクションレス決済 — ブロックチェーンは、従来の支払いシステムがサポートできないピアツーピアのマイクロペイメントを可能にします。
- DeFiレールとの統合 — DeFi レールは、自動化されたマーケットメーカーを通じて流動性をブートストラップするのに便利です。そのうち、プルーフ・オブ・フィジカル・ワークのネットワークが、NFTマーケットプレイス、ソーシャルトークン、デリバティブなど、他の構成可能なDeFiネイティブツールを活用すると予想しています。
何百年にもわたる中央集権型資本形成の社会的経験を考えると、この種の問題は、誰が、いつ、どこで、どのように報酬を受けるかを、一企業が決定しようとすると考えるのが自然なことでしょう。私たちは、このモデルは、インターネット時代には役に立たないことを主張します。中央計画決定を行い、利害関係者をその裁量で補うことは、自由市場の需給と需要の概念により、最も生産的なアクターを拡大して補う、適切に設計されたパーミッションレスネットワークほど効果が高くなることはありません。
個人の小規模事業者が、規模の大きいインフラストラクチャ（例えば、通信、マッピング、電力グリッド、サードパーティーのロジスティックス）で、大規模な企業と競争することはこれまで不可能でした。プルーフ・オブ・フィジカル・ワークは、企業の運営と 規模を拡大するパラダイムシフトを意味します。暗号通貨経済プロトコルは、中央集権型のレントシーキングパーティーなしで、経済活動を調整することができ、これらの産業を企業封鎖主義から実力主義の資本主義へ、より自由な市場に移行するのに役立つでしょう。
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