Unchained Podcast Audio Essay:イーサリアムで最もフォーク可能なDeFiプロトコル
編集者注:*この記事は、元々ローラ・シン氏がUnchained Podcastで公開したものです。シン氏のコンテンツにアクセスするには、関連リンクをご覧ください。以下の説明は参考のためにここに同時配信されています。このエッセイを聴くには、ここをクリックしてください。*
説明
新しいレイヤー1ブロックチェーンを立ち上げるにつれて、私はイーサリアムのネットワーク効果やイーサリアム上に構築されたDeFiプロトコルの防御性について考えています。
数年前に、私が記したのははビットコインやイーサリアムなど非ソブリン層1の金銭のネットワーク効果についてでした。その後、イーサリアム上のDeFiエコシステムは開花しました。数十のDeFiプロトコルを利用して、ユーザーはさらに大きな資本プールに対して完全に担保付きの数億ドルの負債を引き出しました。
今やこれらのプロトコルは合わせて数億ドルもの経済活動を円滑に進めているため、防御性について考え始めることが可能になりました。これを行うための1つの方法は、ネットワーク効果を定量化し、比較することです。しかし、各プロトコルに係るダイナミクスは特有であるため、ネットワーク効果を高精度に定量化することは非常に困難で、リンゴとリンゴを比べるような方法での各プロトコルの比較は難しくなります。
このエッセイでは1)取り組み、および2)主要なDeFiプロトコルをそれぞれフォークするのに必要な資本について考慮します。次に、これらのネットワーク効果の相対的な強みをランク付けし、イーサリアムのエコシステムレベルの防御性について議論します。
このエッセイは、各プロトコルについての作業知識を前提としています。
合成ステーブルコイン - Maker
約1年前に記したのは、MKR(これはMakerDAOシステムの「株式」)などのレイヤー2アセットが、パーミッションレスでオープンな設定において価値を収益化する方法です。そのエッセイでは、フォーク不可能な(分離できない)状態の存在は価値をキャプチャーする上で鍵になることを具体的に特定しました(フォーク不可能な状態の最も優れた例はローンを支える担保です)。Makerの文脈では、明らかにフォーク不可能な状態はDAIローンを裏付ける担保(これは主にETH)です。
しかし、この構想が不完全であることは明らかです。この理由を理解するために、Makerにとってネットワーク効果の唯一の源泉が担保であると仮定します。裕福なサードパーティーはすべてのMakerの契約をフォークし、なおかつalt-Makerエコシステムを作成し、さらにその代替エコシステムで流動性をブートストラップするために数千万ドルもの担保を預けることができます。しかし、その後はどうなるでしょうか?alt-Makerのエコシステムは、誰もalt-DAIを用いて購入またはやり取りしたくない場合には意味がありません。
Makerの最も有効な防御性のソースはMKRやDAIローンを支援する担保ではなく、DAIの流動性とその使いやすさです。Makerは利用可能にするためにはDAIに流動性がなくてはいけません。誰かがDAI債務をETH担保に対して引き出すとすれば、DAIに関して流動性がない場合にDAIは役に立ちません。しかしユーザビリティは流動性のスーパーセットです。DAIの使いやすさは、商業者による受け入れ、Augurなど他のプロトコルでの使用、CompoundやLendf.meなどのレンディングプロトコルにおける担保としての使用において明白です。DAIはあらゆる種類のサードパーティーのアプリ、サービス、インフラストラクチャに接続され、より便利で使いやすいものになります。
DAIの流動性とユーザビリティの組み合わせは、強力な堀のようです。資本力に富んだalt-Makerチームでは、より高いDai貯蓄率(DSR)を提供することに取り組み、次にalt-DAIを統合するためにサードパーティーに支払うよう試みることもできますが、これが有意な勢いを勝ち取るかどうかは不明です。
不換通貨(フィアット)担保付きステーブルコインーUSDT
テザーは純粋なDeFiプロトコルではありませんが、50億ドル以上という驚異的な時価総額を持ち、暗号化エコシステムに不可欠な部分であるためにこれを含めました。
テザーにとって防御性の源は明らかで、ビットコインと並んで暗号資産エコシステムの中で最も流動性に富んだ資産であることです。USDTは米国以外のあらゆる主要な取引所で利用可能で、多くのデリバティブ取引所の担保として機能し、OTC取引の大きな割合で決済に使用されます。
USDC、PAX、TUSD、GUSD、DAIなどとの激しい競争にもかかわらず、USDTはステーブルコイン市場の80%以上(時価総額を用いて比較した時)を依然として占めています。これは、USDTの防御性に関する究極の証拠です。
少数のチームがステーブルコインのクリアリングハウスに取り組んでいますが、これにはStableCoinSwapやShellなどのDeFiプロトコルおよびStablehouseなどの集中化されたクリアリングハウスが含まれます。これらが成功するならば、その結果ステーブルコインの取引に関する摩擦は減少するため、USDTに悪影響が及ぶかもしれません。
たとえば、もしこれらのプロトコルおよび企業が強力な保証を提供し、大量のステーブルコインを最小限のスリッページ(注文から約定までの価格のズレ)で交換できるようになれば、デリバティブ取引所は他のステーブルコインを担保として受け入れ始める可能性があります。現在、暗号資産デリバティブ取引所のFTXはこのサービスをネイティブに提供しています。しかし、流動性を備えたステーブルコインのクリアリングハウスの存在が他の取引所のためにこの傾向を加速する可能性があり、これはUSDTに悪影響を及ぼすとみられます。
担保付き金融市場 - Compound / Lendf.me
暗号資産レンディングプロトコルCompound内のフォーク不可能な状態はシステム内の担保です。
このため、Compoundの防御性は次のように理解することができます。担保プールの価値が増加すると、借り手はより多くの資本を、低金利で借り入れることができるほか、これによって一段と多くの貸し手が集まることになります。これは好ましい循環です。
では、誰かがCompoundをフォークし、このため流動性をalt-Compoundへとブートストラップすることはどれほど困難でしょうか?
実際にはこれを行う方法がいくつかあります。alt-Compoundチームは以下のことができます。
- Compound自体がサポートしていない資産をサポートします(例:USDT)。
- より好ましい担保比率および清算罰則を導入します。
- 自前の資産をalt-Compound内で競争力のある料金や時には割引料金で貸し出します。
- サードパーティーの貸し手を補助してCompoundの金利を引き下げます。
現在、Compoundにはシステムを支える1億ドル未満の担保があります。alt-Compoundのクリエイターがユーザーを補助することでCompoundの金利を(例えば年間100ベーシスポイントの比率で)引き下げた場合、流動性をブートストラップするための年間機会費用は100万ドル未満となります。このレベルの規模は容易にベンチャー投資の対象になります。
しかし、Compoundの内部流動性(貸出金利、借入金利の形で)に加えて、Compoundは追加的な防御性を提供しうるいくつかの独自形態の外部流動性の対象にもなります。
まず、サードパーティーのアグリゲーターであるInstadapp、Zerion、RAY、idle.finance、Aaveなどがあります。これらのシステムは預金をCompoundに転送しますが、そこでCompoundは借入金利を引き下げるため、より多くの借り手が引き付けられます。有機的な資本のフローは確かに良いことですが、これがマージンで重要かどうかは明白ではありません(なぜならalt-Compoundチームは流動性をブートストラップするために金利を補助することがいずれにせよできるためです)。
興味深いことに、アグリゲーターの存在は実際には裏目に出る可能性がありますが、これはユーザー資産を最も高利回りな貸付プールに送信するインセンティブがアグリゲーターに働くためです。前提として同様に信頼できる契約、ガバナンス、オラクルメカニックスが存在するならば、アグリゲーターはユーザーを犠牲にしてまでCompoundに忠実にならない可能性があるため、alt-Compoundチームは実際には補助金を用いてアグリゲーターを勝ち取ることができます。さらに、十分な大きさのアグリゲーターは流動性をCompoundから独自のプールまたはあるalt-Compoundのフォークへと吸収することができます。これはまだ起きていませんが、今後数年間で実現されると予想しています。
全体的に、サードパーティーのアグリゲーターがCompoundの防御性の実質的な供給源となるかどうかは不明です。
第二に、cTokenについて考えてみましょう。これはCompound内の残高を象徴し、時間の経過とともに利子が蓄積されます。cTokenはDAIと少し似ています。サードパーティのアプリがcTokenを統合した場合(例えば他のレンディングプロトコルの担保として使用する場合)、cTokenはコアCompoundプロトコル以外でより利用価値が生まれます。これは貸し手(この場合はcToken保有者)にとってCompoundから、あるalt-Compoundに移行することを困難にします。
Maker/DAI と Compound/cTokenの比喩は優れていますが、完全ではありません。DAIを生成する唯一の理由は、他のもの(例:より多くのETH)との引き換えのために売却することです。したがって、alt-DAIの市場が存在しない限りalt-Makerは無用です。しかし、これはCompoundには当てはまりません。CompoundはサードパーティーのアプリがcTokensを使用しなくても、それでも便利です。
経験則的には、これは理論に基づく予測どおりに進展しています。中国に本拠を置くdForceコミュニティは、Compoundコードベースをフォークし、lendf.meと呼ばれる担保付き金融市場プロトコルを立ち上げ、なおかつすでに2000万ドルの担保をわずか数カ月でシステム内にブートストラップしています。これを達成するために
- Compoundがサポートしていないプロトコル(特にUSDT、imBTC、HBTC)を提供し、
- 中国人ユーザーのためにサードパーティーによる統合でサービスをローカライズしています。
dForceコミュニティがこれを達成するためにlendf.meの金利を補助しなければならなかったようには見えません。これはすべて有機的に実現されることができました。
このため、MakerがCompoundよりも防御性に優れていることは明らかです。補助金の予算により、誰もがCompoundをフォークし、流動性をその貸付/借入市場の内部にブートストラップすることができます。しかし、Makerをうまくフォークするには、補助金の予算以上のものが必要です。プロトコル自体の外部にあるDAIのための流動性とユーザビリティが必要になります。
汎用合成資産プロトコル - Synthetix
Synthetixは合成資産の取引に焦点を当てた特定の種類の取引所です。取引所の防御性は一般的に流動性がもたらす機能として考えられています。しかし、Synthetixは伝統的な取引所ではありませんが、なぜなら伝統的な市場と暗号資産の両方のほぼすべての主な取引所のように中央指値注文書(CLOB)を提供していないためです。ニューヨーク証券取引所(NYSE)、シカゴマーカンタイル取引所(CME)、コインベース、バイナンスなどの取引所はいずれも中央指値注文書を提供しています。
Synthetixを最も特徴づける機能の1つはテイカーがSynths(合成資産)を担保プールに対して取引する時にあらゆるスリッページを負わないことですが、しかしこのモデルにおいて流動性はシステム内の担保の量に基づいて制限されます。これは流動性、そしてそのために防御性が主に利用可能な担保次第の機能であることを意味します。
興味深いことに、Synthetix取引所の成長は実際には妨げられており、これはテイカーがSynthetixエコシステムに参加するためには実質資産(ETHなど非Synths)を合成資産(例えばsETH)と取引する必要があるためです。現在、大半のユーザーはUniswapと呼ばれる分散型取引所を介してSynthetixエコシステムに参加していますが、Uniswap上の最大の流動性プールは実際にはsETH-ETHです。したがって、流動性ブリッジの必要性は成長の制約要因になる一方、逆に堀の役割を担うものでもあります。誰かがSynthetixエコシステムをフォークしてalt-Synthtixを作成するならば、同様の流動性ブリッジをブートストラップする必要があります。
では、Synthetixのネットワーク効果はMakerやCompoundと比較してどうでしょうか?
まず、プロトコル内の担保を考慮しましょう。alt-Makerおよびalt-Compoundの場合と同様に、Synthetixをフォークする人は担保プール自体を活かしたり、これを行う他者を補助したりすることができます。このため、担保ベースが有効な防御性を提供する可能性は低くなります。
次に、外来資産:DAI(Makerの場合)、cToken(Compoundの場合)、合成資産(Synthetixの場合)について考慮してみましょう。MakerのDAIと異なり、合成資産はプロトコル外部で流動性を必要としないよう設計されています。むしろ、合成資産はCompoundのcTokenとより比較することができます。cTokensと同様に、合成資産はサードパーティーのアプリで担保として使用できますが、プロトコルが機能するためにはこのことは必要ありません。これは将来的に防御性の源になる可能性がありますが、まだそうなっていません。
Synthetixの防御性の最後の主な形態は実質資産<–>合成資産ブリッジです。Synthetixは現在、このためにUniswapを活用していますが、alt-Synthetixチームは独自の実質資産<--> alt-SynthブリッジをUniswap、Kyber、他の自由に利用可能なDeFiプロトコルを使用して簡単に提供することもできます。
自動マーケットメーカー - Uniswap、StableCoinSwap、Shell、Bancor、FutureSwap、Kyber
Compoundは自動化されたマーケットメーカー(AMM)ですが、取引向けの代わりに借り入れ/貸し出し向けです。このため、大半の取引志向のAMMにかかる防御性は、cTokensの概念を除くCompoundと比較できると考えることができます。
実質的にも、こうなっているように見えます。これらすべてのAMMが直接競争するわけではないのは、製品の焦点(例えばステーブルコイン対先物に焦点を当てること)が異なるためで、各プロトコルの防御性は主に各プロトコルの流動性プールの規模に左右されます。Compoundのより大きな流動性プールはより縮小された貸し出し/借り入れ金利を可能にする一方、取引志向のAMMのより大きな流動性プールはテイカーに低スリッページを提供します。
オンチェーン流動性プロトコルのKyberは過去12カ月にかけて最も流動性の高いAMMとなりましたが、これは主に1) Uniswapなど他のAMMの流動性プールを活用していること、および2)テイカーの注文フローを送付するサードパーティーの統合を活用することによるものです。すべてのAMMが時間の経過とともに改善される中で互いの流動性プールを活用するようになることは明らかです。たとえば、0xはこれを最新のv3アップグレードで可能にしました。
逆説的に、特定の垂直性(たとえば、ステーブルコインのスワップ)内のすべてのAMMがいったん互いの流動性プールを活用するようになると、これらのAMMはすべて完全な代替となります。これらのAMMはいずれも配信で競合することはできません。この完全な競争の最終的な状態における究極の勝者はテイカーとなり、そのために常に最善の取引を享受することになります。
非カストディアル中央指値注文書取引所 - dYdX、IDEX、Nuo、0x
これらのプロトコルの防御性は中央集権型の取引所に匹敵しますが、いくつかの短所もあります。
まず、これらすべてのプロトコルは最終的に取引決済の基盤となるブロックチェーンの制約の対象となりますが、これらの制約条件には非決定的注文の執行、高レイテンシー、マイナー・フロントランニングが含まれます。これらの制約はすべて流動性提供者を抑制するもので、このためテイカーにとってスリッページは増加します。
第二に、これらの分散型取引所は一般的にクロスマージンとポジションネッティングをサポートしていません。これがDeFiエコシステム内でいずれは発展することを期待していますが、これが数年先となることは明らかです。一方、FTXやBinanceなどの集中型取引所は現在クロスマージンを提供しているほか、トレーダーにとって資本効率性を最大化するための製品群を急速に拡大しています。
ミキサー - Tornado.cash
Tornado.cashは、上記の他のDeFiプロトコルの中で特長があります。他のプロトコルが借り入れ/貸し出し、取引に焦点を当てているのに対し、Tornadoはユーザーのプライバシーを最大限に守るために資金を混合することに着目しています。
現在、Tornado Cashは個人へのプールでの支払いをサポートしていません。むしろ、資金を匿名化するためだけに使用できます。Tornadoの防御性の源泉は匿名性プールの規模です。資金はプールを比較的迅速に循環する(たとえば、資産ベース全体は1〜2週間ごとに回転するように見える)ため、定義上のネットワーク効果は短命となる。さらに、特定のポイントを超えると、匿名性セットの若干の大きさは実際は重要でなくなります。たとえば、匿名性設定が500から1,000のアドレスへと増加するにつれて、次の限界ユーザーが気にするかどうかは明白ではなくなります。いったいどの限界ユーザーが1/500は十分ではないが、1/1,000はそうだと考えますか?したがって、現在の形態では、Tornado Cashにはあまり防御性はありません。
しかし、同サービスの将来のバージョンでは、Tornado Cashがサポートを目指すのは、(今日利用可能な、単に資金を匿名化するまでにとどまるのではなく)プライバシープール内でのプライバシー対応の資産の移転です。このモデルでは、資本の粘着性はかなり高まり、システムから迅速には離脱しません。このために匿名性プールははるかに大きく成長できるため、多額の資本に関して一段と便利になります。
多額の資本が大きなプライバシープールにのみに入れられるという考え方は、前述した他のDeFiプロトコルと比較してユニークなものです。たとえば、プライバシープール全体がわずか1,000ETHの場合、そのプールは9,000ETHの匿名化を希望する人には役に立たない可能性があり、実際にはプール内の最初の1,000ETHオーナーにとって打撃となりうるもので、90%の確率で他の9,000ETHと関連付けられることを望まないかもしれません。
10,000ETHを匿名化したいユーザーは、90,000ETHのプールを必要とすると考えられます。このモデルは、まだ利用できませんが、最も裕福な人がサービスを利用できるようにしており、最も裕福な人々こそが当然ながら最も資本を持ち、なおかつその富を隠すインセンティブは最も大きいと考えられるため、現状よりも防御性があることは明らかです。
ランキング
これらのプロトコルをフォークする仮定上の困難さと、限られた事例を通じて得た経験則を考慮して、これらのプロトコルの防御性を最も強いものから最も弱いものまでランク付けしました。このランキングは必要上推論であることに注意してください。定量化し、純粋に客観的な基準で順位を決めることは不可能です。
- 不換通貨(フィアット)担保付きステーブルコインーUSDT
- 合成的なステーブルコイン - Maker
- ミキサー - Tornado.cash
- 汎用合成資産プロトコル-Synthetix
- 担保付き金融市場 - Compound / Lendf.me
- 自動マーケットメーカー - Uniswap、StableCoinSwap、Shell、Bancor、Futureswap
- 非カストディアル中央指値注文書取引所 - dYdX、IDEX、Nuo、0x
USDTを最高位にランクしたのは、これが最も競争に直面していることや、最大の競争相手であるUSDCよりも依然として5‐10倍大きいためです。USDTは物議を醸すでしょうが、防御性に極めて富んでいます。コインベースはこの分野で最も資本力を持つ企業の1社ですが、それでもこれは18カ月間でUSDTに意義ある形で取って代わることはできませんでした。ステーブルコインのクリアリングハウスが将来的にこうしたダイナミクスを変える可能性はありますが、まだこのことを認識するには早すぎます。
上記の解説に基づけば、Makerが次位に来る理由は明確でしょう。Makerプロトコルは、DAIに流動性がなく、コアプロトコルの外部で利用不可能でなければ機能しません。これらの性質は、いずれも簡単にフォークできず、なおかつ補助可能ではないことです。
Tornadoを3位にして、レンディングおよび取引プロトコルよりも上位にランク付けしたのは、これらのプロトコルで大半の資本を提供することになる裕福なユーザーが、これらのシステムを機能させるためには他の裕福なユーザーの存在を必要とするためです。また富は均一に分散されていないことから、市場は取引やレンディング向けに利用できる10以上のプライバシープールではなく、1~2つのプライバシープールのみをサポートすると予想しています。
次はSynthetixですが、前述したようにSynthetixとCompoundはそのネットワーク効果において類似していますが、最終的にSynthetixをCompoundよりも上位にランク付けしたのはその実質資産‐合成資産ブリッジが防御性の追加的な形式の役割を担うためです。
それよりも下位にランクされた下半分のプロトコルに共通する特性に含まれるのが競争激化です。これは経験則において明らかです。起業家やベンチャー投資家はこれらの市場がそれほど防御性を有しないことに賭けています。さらに、これまで述べたように、競合他社は、流動性を補助することによって、これらの市場の大半で流動性を容易にブートストラップすることをかなり簡単にできます。
エコシステムレベルのネットワーク効果
このエッセイを終えるにあたり、これまでに述べたすべてのことがイーサリアムの防御性に及ぼす影響を、エコシステムレベルで考慮してみます。
要するに、イーサリアムの防御性は、少なくともDeFiプロトコルに関しては、あらゆる個別のDeFiプロトコルよりも顕著に強いものです。イーサリアムの防御性の主な源泉は資本や流動性ではなく、これらのプロトコル全体として備えたコンポーザビリティ―(構成可能性)と相互運用性にあります。
誰かがETHを担保として利用し、DAIを引き出したり、CompoundまたはLendf.meでそのDAIを貸し出したり、そのDAIを担保としてZRXを借りたり、そのZRXをETHのために売却したりすることをすべて単一の取引で瞬間的に行えることは真に驚異的です。
DeFiを取り巻くイーサリアムレベルのネットワーク効果の威力の究極のあかしは、バレンタインデーに起きた最近のbZx攻撃でした。攻撃者のトランザクションは、イーサリアムネットワークにおいて処理された最も複雑なトランザクションである可能性が高く、5つの高度なプロトコルが連携されたものでした。この次元の相互運用可能なインフラストラクチャーの再現は(イーサリアムが今日のものになるまでに何年もかかったように)あらゆるエコシステムにおいて数年かかるものです。このため、大半の新しいレイヤー1チームは、少なくともそれぞれのエコシステムをブートストラップするまでは、DeFiを超えて他の利用例に焦点を当てることを推奨します。
DeFiを開発したイーサリアムコミュニティを称賛します!
このエッセイについてフィードバックをいただいたHaseeb Qureshi、Alex Pruden、Ali Yahya、Michael Andersonに感謝します。
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