0x（$ZRX）の分析と評価

エグゼクティブサマリーを以下に示します。0x（$ZRX）の評価と目標価値についての詳細な分析結果（19ページ）を、ダウンロードすることができます。

開示情報：この記事の公開時、MulticoinはZRXのロングポジションを保持しています。

エグゼクティブサマリー

0xは、ERC20トークンの分散型取引（DEX）ためのプロトコルです。ZRXはこのプロトコルのネイティブトークンです。0xのコアコンセプトは、誰でも使用できるスマートコントラクトシステムと、オープンソースで完全無料で使用できることです。開発者は0xプロトコルをインフラストラクチャとして利用し、ユーザー向けの分散型取引所アプリケーションを構築することができます。0xは、フランチャイズ市場開拓戦略を用いた初期プロトコルの1例です。

DEXを構築するための多くの技術的アプローチの中で、0xのが最も優れていると考えています。0xは、注文のオフチェーンマッチングと取引のオンチェーン実行を利用しています。これにより、未決済やキャンセルの注文でブロックチェーンを肥大化させずに、多くの個別取引を迅速に処理することができます。

0xは、署名付き秘密鍵メッセージという新しい仕組みによってこれを実現します。取引を希望するユーザーは、取引に関する特定のパラメータ（取引を希望するトークン、価格、注文の有効期限など）を含むメッセージを作成します。ユーザーが認証として署名したメッセージは、ネットワークにブロードキャストされます。メッセージがブロードキャストされると、注文としてオープンになり、取引相手との取引が可能になります。また、ユーザーは特定の取引相手を指定し、直接注文を送信して、注文を成立させることもできます。この注文の取引は、ユーザーが作成したパラメーターを取引相手が満たした場合にのみ成立します。テイカーが署名した注文は、イーサリアムブロックチェーンに送信され、0xスマートコントラクトによってトラストレスな取引が実行されます。つまり、スマートコントラクトは、メイカーとテイカーの両方から同時に残高を受け取り、まったく同時に取引相手に送信することができるのです。信頼できる第三者は必要ありません。

0xは、注文の検出と実行を可能にするオープンソースプロトコルです。0xチームは、オーダーブックと流動性を備えた真の取引所の実現を目指しています。そのため、このプロトコルでは、ユーザーがこれらのメッセージを生成してブロードキャストするための「リレイヤー」と呼ばれるチャネルをサードパーティーが作成するようインセンティブを与えています。0xでは、リレイヤーはそのサービスに対してZRX建ての手数料を請求することができます。0xは分散型取引のためのバックエンドインフラストラクチャーを提供し、リレイヤーは0xが既存の中央集権型サービスにも対抗しうるフロントエンドサービスを提供します。

リレイヤー

0xプロトコルは、既存のDApps内の取引を促進するだけでなく、あらゆるサードパーティが0xの上に直接構築された専用の分散型取引所を運営することも可能にします。これらのサードパーティーはリレイヤーと呼ばれ、独自のオーダーブックやユーザーインターフェイスを運営しながら、0xコントラクトを使って取引を行います。Radar Relay、The 0cean、Kin Alpha、Paradex、およびEthFinexはすべて0xリレイヤーを構築している独立企業です。その他のdYdX、Dharma、Marketなどのプロジェクトでは、0xを使ってデリバティブや他の金融商品を構築しています。

リレイヤーは0xエコシステムにおいて最も重要な要素の1つであり、0xプロトコルの成功には欠かせない存在であると考えています。あらゆるリレイヤーでも使用可能なスマートコントラクトセットを作成することで、0xは異なるリレイヤー間で自然発生する競争によって利益を生みます。現在、0x上には9つのリレイヤーが構築されており、さらに増える予定です。これらのリレイヤーは顧客を獲得するために競い合い、独立したサービスを売り込み、0xのエコシステムに新しいユーザーを取り込んでいきます。

リレイヤーは、中央集権型取引所モデルと分散型取引所モデルの良い特徴を併せ持っています。リレイヤーは、高品質のユーザーインターフェースに投資し、専門的なサービスを提供して追加料金を得ることができる一方で、ユーザーの資金は管理できません。また、リレイヤー構築時の参入障壁は中央集権型取引所のそれよりも圧倒的に低くなります（顧客残高の内部台帳の維持や決済インフラストラクチャの構築が不要な点と、資産管理が不要なためKYC/AMLの実施が要らない点が主な理由です）。顧客の獲得競争や多様なニッチに対応していくことで、リレイヤーのエコシステムは多様化していきます。

0xは、リレイヤーがオーダーブックを共有する方法も提供し、グローバルな流動性プールとそれに伴うネットワーク効果を生み出し、0xエコシステムのすべてのステークホルダーに利益をもたらせるはずです。

プロトコルの仕組み

0xプロトコルの構成要素を以下に示します。

• メイカーは注文を出す人を指します。
• テイカーは注文を受け取る人を指します。
• リレイヤーは、オーダーブックをホストし、メイカーとテイカーをマッチングする機関を指します。
• 0xスマートコントラクトは、ブロックチェーン上でトラストレスな注文を実行するイーサリアムアカウントです。
• リレイヤーは、ユーザーが0xプロトコルとのやり取りを可能にするフロントエンドインターフェースを提供します。リレイヤーは、提供するサービスの金額を指定することができます。
• 0xシステムのすべての利用料は、ZRXで支払う必要があります。
• リレイヤーは、料金体系を自由に設定できるため、競争力のある価格設定が期待できます。
• ユーザーは特定のパラメーター（署名付き秘密鍵）が含まれたオーダーを生成し、リレイヤーに送信します。オーダーに含まれるパラメーターを以下に示します。
• 取引を希望するトークンのペアとその金額。
• 取引希望金額。
• リレイヤーへの手数料。
• 注文が失効する日時。
• リレイヤーは、注文が有効で、リレイヤーへの手数料（任意）が含まれている限り、その注文をオーダーブックに追加します。
• テイカーはオーダーブックをスキャンして、約定したい注文を見つけます。注文を見つけたら、0xスマートコントラクトに送信することで注文を実行することができます。
• あるいは、一部のリレイヤーで「自動マッチング」サービスを提供し、オーダーブックをスキャンせずにテイカーと取引相手のマッチングが自動的に行われるようにしています。
• イーサリアムスマートコントラクトは、オンチェーンで注文を実行します。メイカーとテイカーは新しいトークンを受け取り、リレイヤーは手数料を受け取ります。
• 0xユーザーは自分のウォレットから直接取引します。スマートコントラクトは、メイカーとテイカーの両方から残高を取得し、まったく同時にスワップします。

ZRXの評価

0xのネイティブトークンであるZRXには、主に2つの役割があります。

1. ZRXは、リレイヤーへの手数料の支払いに使用されます。2. ZRXは、トークン保有者による0xプロトコルの分散型ガバナンスを何らかの形で確立するために使用される予定です。

ZRXトークンの目標価格を割り出すのは、非常に多くの要因が絡むため、難しい作業です。取引量、手数料、速度などの変数や、投資目的と実際に使用する目的で保有されているトークンの割合を算出するだけでなく、ZRXのトークンの経済性や、この市場のほぼすべての暗号資産に適用される投機プレミアムなどを考慮に入れる必要があります。

0xプロジェクトに対する当社の強気要因は、結局のところ、0xは非常に優秀なチームが支えており、最高水準の技術的アプローチ（オフチェーンリレーとオンチェーン決済）と強力な市場検証力を用いて、暗号エコシステムで最も差し迫ったニーズの1つに取り組んでいるという事実に起因しています。0xの周りに生じたエコシステムは驚くべきもので、リレイヤーは、0x上で従来の取引所を構築するだけでなく、プロトコルを活用して他の金融商品を提供しています。また、イーサリアムエコシステムにおける最大級のプロジェクトの多くは、0xと直接統合しています。

短期的には、次の2つの要因からZRXの価格は大幅に上昇することが予想されます。

1つ目は実用性です。リレイヤーが機能するにつれて、リレイヤーを利用するために、ユーザーはZRXトークを取得する必要があります。Radar RelayとParadexの両方が間もなく立ち上がり、少なくともEtherDeltaの取引量はすぐに上回ることが予想されます。新規ユーザーは取引のためにZRXトークンを購入する必要があり、頻繁に取引するトレーダーは、取引のたびにトークンを取得する手間を省くためにZRXの残高を保有するものと思われます。このような資金流入が生じることで、短期的な価格上昇が見込まれます。

2つ目の理由は投機です。0xを実装したリレイヤーは間もなく機能し始め、これらのリレイヤーは0xプロトコルの可能性を示す強力な概念実証の役割を果たすことになるでしょう。暗号資産市場は、まだ実用価値だけで取引が成り立つほど成熟していないため、誇大広告や投機が価格変動の大きな要因であり続けています。ユーザーが0xリレイヤーを使用して取引を始めれば、ユーザーはその可能性を理解し、ZRXを購入・保有するようになると考えています。分散型取引所は暗号資産における最大の機会の1つであり、投資家がその勝者と予想するプロトコルに賭けることで、この垂直方向の市場投機が本格化することが予想されます。0xチームは一貫してその実行能力を証明しており、彼らの新たな進歩が投機を呼び込む可能性があります。

中期的には、ZRXのトークンの仕組みがより重要な要素になっていくものと考えられます。新規リレイヤーが参入し、顧客の獲得競争が激しくなれば手数料は下がります。一部のリレーヤーは、より流動的な取引体験を提供するためにZRXによる手数料の受け取りをやめる可能性があります。手数料が下がり、速度が上がると、ZRX経済を支えるために必要なマネタリーベースは非常に小さくなります。これは、ZRXトークンの持続的な価格下落につながる可能性があります。

ただし、これと同時に0xの正式なガバナンスシステムが出現することが予想されます。大口のトークン保有者（リレイヤー、投資ファンド、DApp開発者、投機家）は、自分たちの投資の保護に走り、プロジェクトの方向性に影響を与える手段も有しているはずです。これは0xの継続的な進化を意味し、胸が躍るような展開と言えます。このプロジェクトは、ライフサイクルのごく初期段階にあり、市場の動向だけでなく、その基盤となるブロックチェーンのイーサリアムの変化にも対応し、今後も変化を続けていきます。0xの最終的な目標は、ブロックチェーンに依存しないプラットフォームによるクロスチェーンでのトークンの取引を促進することにあります。この進化を後押しするには、ガバナンスシステムを持つことが最も重要です。

現在のZRXトークンの仕組みが長期的には欠点となることは認識しています。手数料は、ZRXで支払うよりもETHで支払う方が簡単なため、ZRXでの支払いはいずれ淘汰されることでしょう。0x経済圏の参加者が、速度と供給を減らすための仕組みを導入する可能性は十分にあります。0xの現状は、時間の経過とともに大きく変化していくプロトコルの設計図に例えることができます。その初期段階を導くコアチームは、イーサリアム全体において最も優秀なチームの1つです。0xを中心に生まれたリレイヤーやDAppsなどのエコシステムは非常に素晴らしいもので、イーサリアムスタックの重要なインフラストラクチャコンポーネントであることを示してきました。0xプロトコルがイーサリアムと暗号資産領域全体に大きな価値をもたらすと確信しており、その価値創造から利益を得る大きな機会があると信じています。

結論

分散型取引所は重要な暗号資産インフラストラクチャであり、暗号経済の機能を根本的に改善させるものです。0xは、イーサリアムエコシステムの中で主要なDEXプラットフォームとして台頭しています。コアプロトコルは適切に設計され、完全に機能するだけでなく、0xは、サードパーティーのリレイヤーのエコシステム全体にインセンティブを与え、中央集権型取引所よりも簡単に使えるサービスを提供するよう促しています。0x上に構築されたDEXは、中央集権型取引所よりも手数料が大幅に安く、参入障壁も低くなります。0xは様々なDAppsと直接統合できるため、イーサリアムベースのアプリケーション間の流動性と相互運用性の向上につながります。0xはイーサリアムのエコシステムに大きな前進をもたらすはずです。0xの長期的な目標は、ブロックチェーンに依存せずにクロスチェーン取引が行えるプラップロトコルになることです。そして、プロジェクトがその方向に進んでいくことを期待しています。

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